ぼくらが旅に出る理由6~猫とバレエをこよなく愛する・うろんなエドワード・ゴーリーに魅せられて~
さて、いつか行きたいリストにそって、色々な妄想や旅行計画を吐露する企画・第6弾。
今回の行きたい場所は
アメリカのエドワード・ゴーリー・ハウス(マサチューセッツ州)
である。
エドワード・ゴーリーとは絵本作家、画家、イラストレーター。
名前と絵の雰囲気でイギリス人?と予想したくなるが、歴としたアメリカ人である。
私がエドワード・ゴーリーの絵本と出会ったのは2000年~2005年頃だっただろうか。
ヴィレッジヴァンガードという、本と雑貨のお店にて。
本と役に立たないような雑貨があるお店が大好き。何かしら用事を作っては、よく通っていた。
特にショッピングモールやファションビルに入っている店舗より、独立した郊外店が好きで当時は良く出入りしていた。
本屋で「呼ばれる」と言う感覚は、お分かりになるだろうか?
「体感覚」というのだろうか。
「体感覚」とは、人間の五感の内の、視覚と聴覚を除いた感覚を主に呼ぶ。
(味覚・触覚・嗅覚のことを指す。)
コミュニケーションにおいても実は人間は、視覚・聴覚・体感覚という3つを使っているらしい。
私は、ネットで本を探すのが苦手。出会いとしては、本屋に行って、体感覚で探すといい本に出会えるのだ。
もちろん、視覚で得た情報を体感覚に落とし込んで、後日ネットで改めて本を買うということもある。
前置きが長くなったが、エドワード・ゴーリーの絵本もそうやってヴィレッジヴァンガードで出会った本だ。
沢山積まれた本の中で、異彩を放っていた。
なに、この本。怖い気がするけど、目が離せない。
岡本太郎の写真集で、「岡本太郎の東北」というものがある。これもヴィレッジヴァンガードで呼ばれた本だったけど、それと同じくらい怖い。
(特に覚えてるのは、青森のイタコさんの写真と、イタコのなりたち、の解説文。
ぞわぞわするけれど、呪術的なものと日常が、土着のものとして共存している感じが身近である。とてもリアリティがある。
現在では人権とかそういった問題で物議を醸しそう。
聖か邪かなんて、外部の人間には判断出来るはずもない。
外からの権力が介在した時点で、それが邪になるのだから。
清濁合わせ持ったものにしか真実は内包されていない。と思う。
ありのままを写した写真という手法は、これらを表現するのに打ってつけだったのだろう。)
怖い系(単純なホラーではない)のおすすめは、手塚治虫の「奇子」(あやこ)、や「きりひと讃歌」という漫画も。この作品達もヴィレッジヴァンガードで呼ばれた作品です。
どれも1回読んだら忘れられないトラウマ級のインパクトです。
蛇足になったが、ゴーリーの絵本に話を戻そう。
初めて読んだのは、「ギャシュリークラムのちびっ子たち」だったと思う。
アルファベット・ブックの様式をとった絵本で、A~Zの順の名前のこどもたちが、残酷な死に方をしていく、という内容である。
改めて説明文に起こすと、ものすごいパンチがある内容だな。
これから読む方の為に、これ以上の内容は言及しないが、テイストとしては英国のマザー・グースと同じような雰囲気だろうか。日本で言う怖いわらべ歌みたい。
「かごめかごめ」とか「とうりゃんせ」みたいなね。
不思議なことに、残酷なのだけれど生々しい残虐さがない。
いい匂いの苔、みたいな質感。苔って森の中に生えてるやつとか、盆栽の鉢の中にあるやつって癒やされますよね。ああいう感じです。
(個人の感想です。)
白地に黒で精密に描かれた絵。でも神経質とか偏執的といった感じではなく、几帳面な感じ。
毛皮や上等なドレスの生地や壁の模様やカーテンのタッセル。
どれも精緻でずっと眺めていたい。
ゴーリーはネコも大好きで、どの登場人物も不条理な目に遭ったり不幸になったりするのだけれど、ネコだけはそんな目に遭わない。
ふしぎな動物?生き物?も沢山出てくる。
最近になってゴーリーを思い出したのは、3年位前に仙台の丸善でゴーリーの特設コーナーを見かけたからだ。
迷いに迷って、「MOE」特別編集の「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密」という冊子を購入した。
これは日本初公開、原画展開催記念特別編集だったよう。
ううう。2016年に伊丹・福島・下関で開催していたとのこと。
情報に出合うのが遅かった。福島県立美術館なら行けたのにー。
これ程枕を噛みたくなるようなニアミスってない。
とにかく・ゴーリーの絵本は全部そろえて、自分のサロンなど開いたあかつきには並べて飾りたい、という夢を持っている。(ヴィジョンはあるのだけど、一体何のサロンかは自分でも不明。)
あとは、YouTubeで【ゲーム散歩/悪夢の精神分析】という動画をたまたま観て、(「Neverending Nightmares」というゲームの内容にそって精神分析の先生が解説する、と言う番組内容)を知って、なんだか好きな絵だな、と思ったらエドワード・ゴーリーの絵本に似ていたから。
あ、私ゴーリー好きだった、と思い出した。
こちらのゲームはものすごいホラーなので、苦手な方は軽い気持ちでは観ないように。
ゲーム解説+精神分析の解説の前述の動画なら、ちょっとホラー要素が薄れてフロイトとかがお好きな方なら観やすいかもです。
あとは、大のバレエファンで(特に振付家ジョージ・バランシンのファンだったとのこと)でニューヨーク・シティ・バレエのポスターも手がけていたというゴーリー。
(ニューヨーク・シティ・バレエって「SWAN」で真澄ちゃんとレオンが「牧神の午後」を踊ったところじゃん!バランシンも出てきます。詳しくは「SWAN-白鳥-」有吉京子氏著で。)
とくにおきにいりが、このポスター(ゴーリーハウスにタペストリーとして飾ってあるみたいです。)素敵でしょう。
バレエの基本の第2から第6ポジションを描いたもの。
ポスターとして売ってないかなあ。これは欲しい。
あとは、絵本をに触れるなら、翻訳者、柴田元幸さんの素晴らしい訳の日本語と、原書のイメージを損なわない選び抜かれたフォント(字体)も味わって下さい。
さて、最後に。
今回の行きたい場所、彼がニューヨークを離れ晩年まで愛猫達と暮らした家、エドワード・ゴーリー・ハウスについて。
ボストン近郊の美しい土地、ケープ・コッドにあります。
19世紀中頃に建てられた古い邸宅で、屋根の色や様子が象の皮膚に似て見えたことから
「エレファント・ハウス」と呼ばれたそう。
大変な読書家であり、蒐集家であった彼の蔵書や、集めた美術品や古道具やガラス瓶、浜辺から拾って飾っていた石たち、
彼のトレードマークの風変わりなファッション(ジーンズにスニーカー、そこに毛皮という着こなし方。指には沢山のアンティークな指輪達。)の展示もあるそう。
前述のバレエのポスターのタペストリーも観れるみたい。あー、いいなあ。
リンク:エドワード・ゴーリー・ハウスのご予約はこちらから。
↓
https://www.edwardgoreyhouse.org/
HPの雰囲気からもうウズウズしちゃう。
彼がスープ・オペラ(海外版昼ドラ)なんかを観ながら縫ったというぬいぐるみ、本当にかわいい。グッズ化して売ってくれないかしら。
(いろんなゴーリーの絵本の中に出てくるフィグバッシュというキャラクター。手塚治虫でいうところのヒョウタンツギみたいなキャラ?)
腕の動きなんか、バレエのポール・ド・ブラっぽくていい。
ちなみに、ゴーリーを愛する私を見かねて友達がレジンでつくってくれたピアス。(「うろんな客」の登場する謎の生き物:うろん君と不幸な目に遭わない猫ちゃん)
かわいいでしょう?もちろん非売品ですが、とても気にいってます。
猫ちゃんの足が、そこはかとなくバレエの第3ポジションになってたり。
ゴーリーは本やポスターなんかは、手に入れやすいので、お気に召しましたら是非探してみて下さい。。
あー、私もゴーリーグッズを好きなだけ集めて、ゴーリー部屋を作りたい。
おしまい。