ぼくらが旅に出る理由5~シュルレアリスムの代名詞、スペイン・ダリ劇場美術館~
今回はダリと、彼の作品がある美術館についてである。
私のいつか行きたいリストにもある場所。
サルバトール・ダリはスペイン・カタルーニャ地方のフィゲラス出身の画家である。
正式名はもう少し長い。
本名はカタルーニャ語で発音がちょっと違うようだが、一般的に浸透しているこちらを使わせて頂く。
違う文化圏の名前の成り立ちって面白い。
ロシアの詩人・プーシキンの物語を読んだときもロシアの男性か女性で姓のなりたちと発音が変わるのもとても興味深かった。(漫画・さいとうちほ氏「ブロンズの天使」参照。)
更に言うなら同じくスペイン人の画家・ピカソの名前もフルネームは更にとーーーーーーっても長い。
今回はここは本題でないのでさらっと流すことにする。
ダリについて今回改めて調べてみたら、貴族のタイトルも持っていることがわかった。
初代ダリ・デ・プブル侯爵(Marqués de Dalí de Púbol)。
いや、これ多分自称だな。そもそもイギリス人とかなら功績を残して貴族の称号もらうってよく聞くけど、ダリの生きていたスペインで20世紀初めって、そんなことないよね?
爵位名もなんか不自然だし。だって、ダリだし。自分で爵位つくったり名乗ったりやっちゃいそう。
その辺詳しい方、正しい答えが分かりましたら私までお知らせ下さい。
ダリについて確かなことを並べていきたい。
1904年生まれ。
近代の人なので、彼の写真は沢山残っている。彼の作品を知らなくとも彼の顔を知ってる人は多いのではないだろうか?
そう、あのプリングルスのキャラクターのようなお髭が特徴。(カイゼル髭というらしい。水飴で固めて維持しているとのこと。)
オセロットというネコ科の動物も飼っていたことがあり、その写真も残っている。
大きめのネコ科系の動物、飼えるのがめっちゃうらやましい。叶姉妹とか。(彼女たちのペット、サーバル・キャットのファビュラス君のファンです。)
あのビジュアルだけでも彼がどれだけエキセントリックでシュルレアリスムを体現してるかが分かりそうなもの。
生い立ちをみると内気で繊細な気質のようなので、ビジュアルや行動はパフォーマンスで実際は親しい人たちの中では常識人のようです。
天才を演じるための奇行であったとの見解も。
それでも変わり者には変わりないのだけれど。
あとは、チュッパチャプスのパッケージ。
あれがダリの作品と知らなくとも、「ああ、あれね。」とデザインが頭に浮かぶ人がほとんどなのではないだろうか。
(調べるまでアメリカの会社だと思ってた。)
だからダリがデザインする機会があったのね。
チュッパチャプスのトップとダリが食事をした際、デザインをお願いしたらその場でナプキンにサッと描いて、それを採用したとのこと。
仕事早い。
私がもともと知っていた作品は、「記憶の固執」ぐらいだった。
あの、柔らかい時計がぶらさがってる有名なやつ。時計よりも地面にある顔の生き物みたいな物質が相当気になるけどな。
仙台市在住だった時代に、区立図書館でダリの画集に出会って、著書を読んで、ダリとの関係が始まる。
その時観たのは、ダリの全画集。
そして著書・「ミレー「晩鐘」の悲劇的神話―「パラノイア的=批判的」解釈」という本。
著書に関しては、もうタイトルからして偏執狂(パラノイア)気質ムンムン。
実際その通り。
後に、題材となったオリジナルの方、ジャン=フランソワ・ミレーの「晩鐘」を観たけど、なんでああいう解釈になっちゃうのか全くわからん。
そんでもって、後にダリの作品、《建築学的ミレーの「晩鐘」》、
《たそがれの隔世遺伝(強迫観念)(ミレーの「晩鐘」を模して)》、
《ミレーの「晩鐘」の古代的学回想》・・・。
と、「晩鐘」をモチーフにした作品が色々出てくるんですが。
どんだけあなた、「晩鐘」に偏執してるのよ。
批判的といいつつパラノイア的に、ダリのモチーフに松葉杖と手押し車がやたらと出てくる理由がわかったような、わからんような。うん。わからない。
でもやたらと松葉杖がかわいい。ダリの他の絵画や彫刻で、松葉杖を見つけると嬉しくなっちゃう。
愛は憎しみの双生児なのね。愛するほど批判しちゃう。でも、偏執してるって認めてる。もう。めんどくさい愛情。ダリってめんどくさかわいい。
奥さんのガラのこと大好き過ぎるところも、めっちゃかわいい。
わかんないとかわいいで頭の中が埋め尽くされ、「なんかわからんけど、面白い!すごい!頭の中しっちゃかめっちゃかに愉快にかき回された!」となり、
「なぬ!お隣の福島県にダリのコレクションがある美術館があるだと!?」
とそこから数年の時を経て実物を観れる場所へ訪れることが出来た。
日本の福島県にある、諸橋近代美術館はダリのコレクションがなんと世界中で第3番目(だったか第2番目だったかな?)が多い。
アジアでは随一のコレクション数を誇る。
とてもとても素晴らしいので、是非公式のHPだけでもご覧頂くことをおすすめする。
↓リンク・諸橋近代美術館
サルバドール・ダリ コレクション|諸橋近代美術館 (dali.jp)
https://dali.jp/?yclid=YSS.1000430417.EAIaIQobChMI5rfP3sSv-QIVc9VMAh2YAwp2EAAYASAAEgKF1fD_BwE
絵画ももちろんいいのだけれど、ブロンズ像が素晴らしい!美しい館内と外観と相まって雰囲気を存分に引き立たせてくれる。
そう、諸橋近代美術館は外観・内装・雰囲気もとても素敵!
ダリは近代の芸術家がゆえ、ヒチコック映画と関係した当時の映像も観ることが出来た。
芸術に当時の最新技術を常に取り入れる姿勢が伺え、ダリの好奇心と実験的探究心を存分に垣間見せてくれる。
今でいうところのメディアミックスとか、コラボレーションというところかしらん?
色んな画家の成績表(採点表)をつくっちゃうところも、その中でも自分を天才って公言してこじらせてる感じが好き。こじらせてても、ほんとに天才ならチャームになっちゃう。うらやましい。
(ダリはその中でヨハネス・フェルメールを最高点で採点していて、めちゃリスペクトしていました。それ以来フェルメールがより好きになった単純な私です。)
ダリ作品とダリの発想に触れるとインスパイアされて、自分にも天才的なヒラメキが降りてきちゃうかも?
国内だと他に、横浜美術館(神奈川)、ポーラ美術館(神奈川)、大川美術館(群馬)
などにダリ作品がおいてあるらしいです。
福岡市美術館所蔵の作品もあるらしいけど、今もあるのかな?
これらは訪れたことがないのだけれど、いつか行きたいリストに追加しておこう。
さて、長くなりましたが、本命はスペインの「ダリ劇場美術館」!
ダリのふるさとフィゲラス(首都バルセロナから特急電車で約1時間ほど場所。フランス国境と近い所)にある。
シュルレアリスムの画家として成功した彼自身が設計や内装を手がけた美術館・芸術作品である。
屋根には卵が乗り、壁にはパン。
どちらもダリが固執したモチーフ。
もうこの時点でワクワクしちゃう。
美術館は中庭を中心とした地上4階地下1階の建物で、全部で22の部屋から構成されているとのこと。
どの作品も撮影OK!らしい。
すごい!そういや諸橋近代美術館も撮影OKスペースあるもんなあ。
ダリの人を驚かすのが好き、っていう心意気を感じる。
なんと地下には84歳で永眠したダリのお墓もあるらしい。
生きてる内に構想して、こうやって実現して、自分の死後も残るって、そこまで想定して造ったんだろうなあ。すごー。
未来も見据えた近代人ってかんじ。
さすが、シュルレアリスムの体現者。
↓見やすかったサイトのリンク。
バルセロナから1時間!「ダリ劇場美術館」で心躍る日帰りアート旅 | スペイン | トラベルjp 旅行ガイド (travel.co.jp)
https://www.travel.co.jp/guide/article/42452/
私は、富も名声もある、お金もちゃんと儲ける芸術家が好きです。
ダリの場合は妻・ガラのマネージメント能力の高さによるものも大きいようですが。
(ガラの死後、ダリはお金に対して無頓着だったゆえ借金だらけになってしまったとのこと。)
ゴッホみたく、赤貧にあえいだ芸術家の話を聞くと涙が湧いて悲しい気持ちになる・・・。
自分の売り込みをうまく出来ない、人間性の難が見え隠れして・・・(自分自身の不器用さと弱さとかぶって辛くなるのだ。ゴッホと自分を比較するのもどうかと思うが。)
話はずれたが、作品もダリの人間性にも興味は尽きない。
好奇心を忘れちゃった悲しい人間は、ダリに力を借りるといい!
そう思うのであります。
おしまい。